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あなたは売る「相手」を間違っている~本当の顧客とは~

長年、その商売をしている方であればあるほど、本来売らないといけないターゲットがどんどん見えにくくなるのかもしれません。

小学生向けの進学塾経営をしている友人と話しをしている時にも感じたことですが、誠実な人間、優しい人間であればあるほど、ターゲット選定があいまいになる、悪く言えば八方美人になってしまいがちです。

友人が悩んでいたのは、生徒から指導が厳しいと言われることでした。(もちろん体罰などではありませんよ)
最近の生徒は叱られ慣れていないので、「叱る」と「怒る」の違いがわからないのか、厳しいと辞めてしまう生徒もいるようです。
このままでは生徒の減少が心配で、最近配っているチラシやホームページでは、笑顔の生徒と自分を掲載して楽しさをアピールしているとのことでした。

よくよく話を聞いてみると、叱る内容は、「遅刻」「授業中の私語や携帯いじり」「宿題の未提出」「姿勢」(姿勢の悪い子は成績が悪いそうですよ)など、当たり前のことを叱っており、まさに熱血漢の教師といった感じです。
そのおかげか、塾自体は、有名中学の進学率が非常に良く、地域では一番成績を向上させている塾だと自信を持って話していました。
指導内容については専門家ではありませんので正しいのかはわかりませんが、塾としての結果はすばらしいものがあり、指導内容が間違っているとも思いません。

友人は、「指導が厳しい」ことによる生徒の減少を心配していましたが、私には、何に心配しているのかがわかりませんでした。

進学塾のターゲットは「生徒」ではなく「親」

友人の悩みは、「人」としての悩みであれば問題ありませんが、「経営」の悩みであれば的外れです。
チラシやホームページでの楽しさアピールもはっきり言って的外れです。
友人は「指導の厳しさ」を欠点だと思っているようですが、むしろ誇るところであって決して欠点ではありません。

そもそも、進学塾のターゲットとは、「誰」でしょうか?
詳しく言うと、お金を払うのは「誰」でしょうか?

それは、「生徒」ではなく「親」です。
さらに言うなれば、「母親」です。
進学塾として、「母親」からの評価が悪いのであれば改善すべきですが、「母親」からの評価が高いのであれば、ターゲットは満足しており、方向転換をすべきではありません。

「母親」からの評判はどうなの?と聞くと、案の定、「かなり良い」とのことでした。
当然ながら「母親」としては、きちんと叱ってくれて、成績も上げてくれる塾を悪く言うことはありません。
やんちゃな盛りである小学生高学年であればなおさらです。
ターゲットの私立中学に行かせたい教育熱心な親としては、「塾の指導の厳しさ」をマイナスに取ることはほとんどないでしょう。

それなのに、友人はターゲットではない「生徒」からの評価が悪いと思い、わざわざチラシやホームページを変更するような間違いを犯しました。

実は、このような事例は珍しくありません。
特に実際にサービスに触れる人と、お金を支払う人が違う業種では起こりがちな間違いです。

本当の顧客とは?

ずばりお金を払ってくれる人です。
その商品やそのサービスを利用する人ではなく、お金を出す決定権を持つ人です。

購入者と利用者がズレるような商品やサービスにを取り扱っている場合は注意してください。

例えば、車販売の場合、新車を購入する世代はほとんどが妻帯者です。
もし、その世代に車を販売するのであれば、車を利用する「夫」に向けていくらカタログスペックやカッコよさをアピールしても無駄です。
財布のひもを握っている「妻」がうんと言わない限り買ってくれません。
「妻」はカタログスペックやカッコよさには全く興味がありません。
それよりも、車を使ってのピクニックの提案などファミリーとしての利用のしやすさや、安全性の提案をすべきです。

購入した人に買った理由を聞け!

友人は、定期的に生徒から指導内容についてのアンケートをとっているようです。
授業の分かり易さは生徒にしかわからないということでアンケートをとっているようで、非常に素晴らしい取り組みだと思います。
しかしながら、購入者である「親」に対して自分の塾を選んだ理由を聞いたことがあるかと聞くと「ない」とのことでした。

友人がターゲットのずれを認識しないまま行動してしまった理由として、「購入した人に買った理由を聞いていない」ことに尽きます。

意外に皆さんされていないのが、「なぜ購入したのか?」を聞くことです。
聞いてみると、欠点と思ったことが実は「購入理由」だったということは珍しくありません。

友人に早速「親」にアンケートを取ってもらったところ、塾を選んだ理由は「進学率の高さ」「指導の熱心さ」が上位2つでした。
結局のところ、友人が悩んでいた「指導の厳しさ」は親から見ると「指導が熱心」と感じていることがこのことからわかります。

もし、友人が「楽しさ」を売りに塾経営の転換を行っていたら「生徒」には好かれるかもしれませんが、「経営者」としては間違った判断になっていたかもしれませんね。