労働者の「圏内大移動」が欧州を救う
2013年6月13日 マシュー・イグレシアス
ユーロ圏でかなりの経済格差があり、経済破綻した国もあるということは、大々的に伝えられているので誰もが知るところでしょう。ユーロ圏内での負担や援助、経済破綻した国での生活が大変なことなど見聞きしたこともあります。為替レートが変動する国なら、国の実情に合わせ通貨が高低するのでそれにより、安い破綻した国に外の国から投資や仕事がやってくるという事が起こりえます。
ところがユーロ圏ではそれがないので、経済破綻した国の人はどうするかといえば、国外脱出を目指す方向にベクトルが働くようです。
スペイン、ポルトガル、アイルランド、これらの国では実際にその動きが起こっています。スペインの場合まだ30才未満の若者のうち約7割が国外へ移住することを考えていると言う段階ですが、ポルトガルでは実際に、過去2年間ですでに人口の2%が移住しています。
アイルランドに至っては、毎月3000人以上が国外移住するという記録的な大移動が起こっており、19世紀にアイルランドで起こった「ジャガイモ飢饉」以来といわれています。移住する人の中にはポーランドから来ていた出稼ぎ労働者が自国に戻っている数も含まれているが、多くはアイルランド人です。
スペイン、ギリシャ、ポルトガル、イタリアから同じヨーロッパ圏内のドイツを目指す動きの他に、アイルランド人ならイギリスへ、スペイン人は南米へ、そしてイタリア人はアメリカへ、といった伝統的な移民先にも向かっているようです。