アップル非課税騒ぎがルクセンブルクに飛び火
2013年6月19日 ポール・エイムズ
脱税は許されない重犯罪ですが、合理的な節税は許されています。ですからタックス・ヘイブンの地に籍を置き、租税回避を試みる企業は多数あります。企業というのは利潤を追求する集団ですから自己の利益をなるべく吐き出したくはない、それが税金であっても法的に許される範囲なら正しい行動とも言えます。
タックス・ヘイブンは企業な利用者に利益をもたらすだけでなく、その地にも富をもたらします。タックス・ヘイブンは、たいてい小さな土地や他に産業などがない地ですが小国ルクセンブルクもそのひとつです。ルクセンブルクの国民は、世界で最も裕福とも言われ、アメリカの国民1人当たりの名目GDPは5万ドルに対し、ルクセンブルクは10万7000ドルに上っています。
しかし、その繁栄がこの先続くかどうかは判らなくなりました。欧州の指導者たちが企業の税金逃れの取り締まり強化に乗り出したのです。アップルやグーグルなど巨大な多国籍企業は、各国の税制の違いを利用して、数十億ドルの利益を上げてもほとんど税金を払わずに済むよう複雑な租税回避策を駆使していますが、ヨーロッパの中心でタックス・ヘイブン(租税回避地)を提供しているルクセンブルクに避難が集中しています。
ヨーロッパで生き残ろうとしたら、フランス、ドイツを無視することはできません。圧力に屈したのか、ルクセンブルクは、同国の金融セクターの繁栄を支えてきた銀行の秘密保持策を緩和することに同意し、国外の個人預金者が得た利息と口座の詳細について、他のEU諸国と自動的に情報交換できるようにすると約束しました。といっても、無条件にではなくEUの新しい情報共有ルールを自国の銀行に適用するのは、スイスや他のEU圏外のライバル国が同様のルールに同意した場合のみだということを明確に示したあたりはさすがです。